Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

きっと、大丈夫

この本は「事実婚」という選択をし、あるときは会社員であり、あるときはエッセイストとしての顔を持つ、2人の子を持つシングルマザーのゆるゆるとした日常を、ほんわりとした筆致で書いたエッセーである。 扉カバーの写真がきわどく、ページをめくってからはセミヌードの写真が続くので 「いやらしい本ではないか?」 というイメージを持つ方も多くいるに違いない。だが読み進めるうちに、この本はそういうエロティックな部分は皆無で(確かに、作者のデビュー作はエッチな内容らしいが)、2人の幼子を抱えながら、仕事や生活、対人関係など日々の生活で起こったことや悩みをつらつらとつづったのものだと理解できる。 そして作者は、自分の子供時代が極めて不遇だったことを明かしている。 自己中心的で、暴力的な父親。 娘に向かって 「お前なんか本当はほしくなかった」 と平然と口にする母親。 そんな彼女の両親は仲が悪く、子供たちの前で平然といがみ合っていた。よく子供がグレなかったものだと思う。 これほど仲が悪くても、長期の休みには家族旅行をすることがあったそうだ。常日頃から仲が悪く、関係がギスギスしているにもかかわらず「家族旅行する」とは、いったいどういう神経なのだろうと思ってしまうが、そういう感情は作者も抱いていたしい。 旅行に出たとき、駅のホームで父に叱られた作者は、見知らぬ人の前で自分が「優しくしてもらえない子供だとばれてしまうこと」が恥ずかしかったと述懐している。「自分たちの家族仲が悪いだけを知らしめる」だけの家族旅行に、何の意味があるのだろう? そういうギスギスした両親との関係に疲れ果てた作者は、25歳になったある日、実家を出て一人暮らしをする決意をする。時が経ち、愛する人と出会い、未婚のまま子供を生む決意をした作者は、その後もさまざまな困難にあいながらも、へこたれず、グチをいわず、泣き言とも言わず、前向きに逆境を切り抜けていく。 この本を見て感じることは、働きながら子供を育てるって大変だなあということ。作者は保育所探しで悪戦苦闘するのだが、公務員はどんなに保育所に秋がなくても、優先的に入れてもらえるということを知り、憤りを感じた。「公務員以外は人にあらず」という、彼らが持つ「エリート意識」という名の醜くゆがんだ自意識は、こんなところにも顔を出すのか! 作者が行く先にはさまざまな困難が待ち受けているが、彼女はそれに対して反感を持つでも愚痴をこぼすでもなく、淡々と感じたことを綴っていく。 家族を持つってすばらしいな。 この本を見て、そう思った。