Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

2014年4月の読書リスト

2014年が始まって⅓を経過した。 そう、5月になったということである。 しかも、5月の声を聴いたとたんに「夏日」を記録した。地球は狂っている。 狂っているのは我が国の気候だけではないぞ。「内閣総理大臣」という名の「独裁者」様である。 消費税増税後のパフォーマンスに選んだ会場が「三越日本橋本店」ということ自体、この人の意識は庶民を向いていないことの証左である (余談だが管理人は世紀末、三越日本橋本店近くの某ファストフードチェーンでアルバイトをしていた)。 国会そっちのけでオバマ大統領の来日「運動」にうつつを抜かし、それが一段落したと思ったら今年の「大型連休期間」中は、ヨーロッパには外遊ときた。中国・韓国両国との関係改善を差しおいてヨーロッパに行くこと自体が異常だと思うのだが、側近は誰も彼に諫言しない。 この国はいったいどこに向かおうとしているのか?

2014年4月の読書メーター

読んだ本の数:7冊 読んだページ数:1729ページ ナイス数:2ナイス

僕たちはドクターじゃない (メディアワークス文庫 き 2-1)僕たちはドクターじゃない (メディアワークス文庫 き 2-1) 読了日:4月2日 著者:京本喬介
進撃の巨人(13) (講談社コミックス)進撃の巨人(13) (講談社コミックス) 読了日:4月11日 著者:諫山創
魔法科高校の劣等生 入学編 (4)(完) (Gファンタジーコミックススーパー)魔法科高校の劣等生 入学編 (4)(完) (Gファンタジーコミックススーパー) 読了日:4月16日 著者:佐島勤,きたうみつな
地球環境報告 (岩波新書)地球環境報告 (岩波新書) 読了日:4月19日 著者:石弘之
魔法科高校の劣等生 (3) (Gファンタジーコミックススーパー)魔法科高校の劣等生 (3) (Gファンタジーコミックススーパー) 読了日:4月20日 著者:佐島勤,きたうみつな
魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫)魔法科高校の劣等生〈1〉入学編(上) (電撃文庫) 読了日:4月20日 著者:佐島勤
統計学が最強の学問である統計学が最強の学問である 読了日:4月23日 著者:西内啓
読書メーター

僕たちはドクターじゃない

ラノベの世界でも「医学生」が主人公の作品が出てきたのかと、興味深く読んだ。 この作品、なかなか読ませる。 何よりも、登場人物が魅力的だ。 一番の常識人なのに、悲しいくらい不器用な(何しろ、買ってきたばかりのインスタントコーヒーの蓋を開けられない)主人公。 そんな主人公に変わり、手作業のすべてをやってあげ(ネクタイを整えることのも彼女の仕事だ!)、幼稚園かと思うほどだだっ子の赤毛の少女。 周囲もどん引きするくらいのロリコン。 手術狂で、やたらと手が出る少女。 そんな彼らの正体は「医学生」、しかも15~16歳くらいだというから驚く。 というのも彼がいる時代、医療業界のブラック化が止まらず、関係者は続々と退職に追い込まれててしまったために、現場は深刻な人員不足に陥った。政府はそれを補うために、優秀な児童(「学生」ではない)に医学教育を施し、ある程度の年齢(おそらく高校卒以上)になったら「医者」を名乗らせる、という政策をとっているのだそうだ。少子化と医者不足をシンクロさせた設定は現実感があり、見事としかいいようがない。会話のテンポも、物語の展開もいい。 著者はあとがきの中で「私はドクターじゃありません」と書いているが、専門用語、特に薬効について詳しい記述があることから、作者はおそらく医学生、もしくは医療関係の仕事についている人だと思われる。

進撃の巨人 第13巻

昨年のアニメ放映後もその勢いは止まらず、全巻累計発行部数が3,600万部を突破した、大ヒットマンガシリーズの最新刊である。 ようやくエレン奪還に成功した調査兵団だが、エルヴィン団長は片手を失い、エレンたちの心の支えだったハンネスら熟練の兵士を喪うなど、その代償はあまりにも大きかった。調査兵団のリヴァイ兵士長らは、エレンたち104期生をとあるところに匿い、反撃の機会を窺う。ところが事件のカギを握ると思われていたウォール教のニック司祭が、中央憲兵兵団の兵士らに虐殺されたことが、分隊長ハンジ・ゾエらの調査で発覚。彼の居場所は調査兵団関係者以外には知らなかったことから、中央政府の高官が絡んでいるとにらんだリヴァイらは、王都潜入作戦を決行する。一方104期生メンバーのクリスタはその名を捨て、元々の名前だったヒストリア・レイスを名乗ることを宣言し、自らのおぞましい過去を同期生に告白する。そして思わぬ事から明らかになる真相。物語は一転、国内の権力闘争へと変わり、調査兵団もその中に引き込まれることになる…

魔法科高校の劣等生

魔法科高校の劣等生(1)

魔法科高校の劣等生 コミック版 入学式編(3)

魔法科高校の劣等生 コミック版 入学式編(4)

この4月から、鳴り物入りで始まったアニメ番組の原作本・コミック本であるが… 「面白いか?」といわれれば、はっきり言って「????」と思わざるを得ない。 設定はそれなりに面白いとは思っているが、この小説の最大の問題点は文体、そしてその世界観にある。 タイトルに「劣等生」とあるが、主人公は基本的に「魔法」が使えない(それも一般人から見れば、十分に使えるレベルであり、本人が「劣等生」と思っているのは、単に「学校側から見た評価」でしかない」だけで、世間一般から見れば十分に「エリート」である事、主人公の妹の、度を超えたブラコンぶり(二言目には「お兄様すごい!」のノリになって、正直うざいと感じることも)はまだ我慢できるとしても、地の文の文体はまるでPCか電化製品のマニュアルみたいで、正直言って読むのが苦痛だった。会話文のおかしな改行も目障りでしかない。 始めから終わりまで「俺ってすごいでしょ?」というノリ一辺倒で押し切られるので、日常生活に欲求不満を抱えている人間にはお勧めするが、微妙な心理描写とか、人間関係のあやを求める人にはお勧めできない。雑誌「ダ・ヴィンチ」2013年上半期BOOK OF THE YEAR2位になった作品ではあるが、その評価はネット上はもちろん、ラノベ好きの間でも評価は二分されている。 むしろ、この作品はコミックのほうが優れている。原作本は作者の表現力不足もあり、何のことことを説明しているのかさっぱりわからないことも多い。魔法の説明も「これを理解できるのは作者と、その信奉者だけでは?」と嫌みを言いたくなるほどダラダラとムダな説明が多く、読んでいてイライラすることも少なくないが、コミックでは必要最低限のことをコンパクトにまとめている印象を受ける。ただし、いくら「お化粧」したところで限界はあり、画面の至る所から「主人公マンセー!!!!」という雰囲気が滲み出るのは否めない。

地球環境報告

初版発行が1988年バブル期絶頂期、環境問題を訴える本が出たことに新鮮な驚きを覚えたことを覚えている。水俣病四日市ぜんそくイタイイタイ病の公害問題を経験していたとはいえ、今みたいに環境NGOの存在はほとんど見えず(この当時は、市民運動の世界でも「環境問題」は「知る人ぞ知る」だった)、もちろん「地球温暖化」で騒がれることがなかった時代に、それも大メディアの記者がかような問題に着目していることは評価されるべきだろう。この本を読んだきっかけは、学校のレポート提出の課題かなんかで取り上げられたからだが、知らなかったことばかりなので刺激を受けた。裏を返せば、大メディアの多くの記者は、これらの問題を知りつつ報道しなかったということであるし、その傾向は安倍政権になってから、ますます酷くなったような気がする。30年近く前、南北問題、森林問題について警鐘を鳴らしていたジャーナリストは、どのくらいいたのだろう?

統計学が最強が最強の学問である

2年前のビジネス書界を席巻したベストセラーの一つだが、受ける印象は前半と後半とで全く異なる。 前半は統計学の歴史についてわかりやすく解説しているのだが、後半は難解な理論ばかりを展開しているから、数学音痴には苦痛にしか感じられないだろう。 難解なのはしょうがない。だが問題は、著者にその難解な理論を読者に理解させようとする気が全くないこと。 「僕はこれだけ難しい理論を理解していますよ。どうです、みなさん!」 という姿勢が見え見えで、読めば読むほど頭が痛くなってきた。おまけに、なぜ「統計学が最強の学問」なのか、さっぱりわからない。統計学の歴史についてのみ触れていたら、読者に苦痛を与えることもなかっただろう。これは編集部の最大のミスである。 というわけで、この本は初心者には向かない。数学の理論展開に精通し、大学1年生程度の統計学の知識を備えている人向けの本である。ビジネスの場面で統計学の知識が必要なのは認めるが、ビジネス書として売り出すのなら、それ用にアレンジするべきだったのではないか?