Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

2014年5月の読書リスト

6月だよー。 世間は 「サッカーW杯が始まったよー。日本代表は一次リーグを突破できるのかなー」 と大騒ぎしているよー。 そのどさくさに紛れて、安倍政権は「解釈改憲」で「集団的自衛権」発動できるように閣議決定しようと画策しているよー。 安倍晋三は、何が何でも世界各地の戦場に自衛隊を派遣させたがっているよー。 自衛隊員に死者が出て、欠員が出たら徴兵制を導入するのは明白だよー。 「聞いてねぇよー、騙されたよー」 と大騒ぎになっても、それは後の祭りってもんだよー。 スポーツのお祭りの後に参加した後、戦争というお祭りがやってくるなんてしゃれにならないよー!

というわけで、先月読んだ(登録した)本の紹介。

2014年5月の読書メーター

読んだ本の数:10冊 読んだページ数:2266ページ ナイス数:3ナイス

冷蔵庫のうえの人生冷蔵庫のうえの人生感想

読了日:5月15日 著者:アリスカイパース
ノーベル文学賞 ――「文芸共和国」をめざしてノーベル文学賞 ――「文芸共和国」をめざして 読了日:5月15日 著者:柏倉康夫
シドニアの騎士 2 (アフタヌーンKC)シドニアの騎士 2 (アフタヌーンKC) 読了日:5月19日 著者:弐瓶勉
私は金正日の「踊り子」だった〈上〉私は金正日の「踊り子」だった〈上〉 読了日:5月23日 著者:申英姫
革命機ヴァルヴレイヴ (3) (電撃文庫)革命機ヴァルヴレイヴ (3) (電撃文庫) 読了日:5月30日 著者:乙野四方字
シドニアの騎士(8) (アフタヌーンKC)シドニアの騎士(8) (アフタヌーンKC) 読了日:5月30日 著者:弐瓶勉
シドニアの騎士(9) (アフタヌーンKC)シドニアの騎士(9) (アフタヌーンKC) 読了日:5月30日 著者:弐瓶勉
シドニアの騎士(10) (アフタヌーンKC)シドニアの騎士(10) (アフタヌーンKC) 読了日:5月30日 著者:弐瓶勉
シドニアの騎士(11) (アフタヌーンKC)シドニアの騎士(11) (アフタヌーンKC) 読了日:5月30日 著者:弐瓶勉
シドニアの騎士(12) (アフタヌーンKC)シドニアの騎士(12) (アフタヌーンKC) 読了日:5月30日 著者:弐瓶勉

冷蔵庫のうえの人生

詳細の感想はこちらに書いたので参照のこと。 この本を読んだのは、父がガン闘病中だったからかれこれ5年くらい前になる。 ガン宣告、手術、自宅での介護、そして再発と余命宣告、母と私だけに看取られて寂しく人生を終えた父。 父は生前、何かあるとよく「俺には友達が多い」と見栄をはっていたのに、結局は誰も見舞ってくれなかった。 認知症もあったから、看護師達からは蛇蝎のごとく嫌われていた。 それが現実なんだよ。 あのことを思い出すと、腹が立って腹が立って仕方がない。 ガン患者の誰しもが、この本に出てくる母親みたいな闘病生活を送れるとは限らないのだよ、と声を大にしていいたい。 ホームレスのガン患者は、一体どうすればいいのだろうか?と独りごちる。

ノーベル文学賞 ―「文芸共和国」をめざして

著者はかつてNHKのキャスターを務めたのち、京都大学大学院、放送大学で教鞭を執った人物である。 NHKのキャスター時代の担当番組に「土曜レポート」というのがあったのだが、覚えている人はいるのだろうか? 大学(東大)時代の専攻がフランス文学ということもあってか、大学教員に転身してからの著作物にフランス文学のが多い。 本作は1992年に刊行された「ノーベル文学賞ー作家とその時代」を改作し、2010年までのノーベル文学賞受賞者と国籍のデーターを収録した書籍だ。欲を言えば、彼らの代表作を掲載してくれればもっとよかったのだが。 ノーベル賞、特に文学賞については「○○は受賞したのに、なぜ××は選に漏れるんだ?」という意見が出るのは宿命みたいなもので、初期の頃から「誰を受賞させるべきか?については、選考委員の間でも侃々諤々の議論が交わされているようで、本作でもそのさわりが出てくる。皆様ご承知の通り、日本からは川端康成大江健三郎の二人が受賞しているが、著者は二人とも取材を通じて面識があり、その人となりについても詳細に触れられている。最も本書で触れられている受賞者は20人ほどで、全受賞者を紹介しているわけではないが、時代や地域を代表する作家である事は確かである。

私は金正日の「踊り子」だった〈上〉

著者は万寿台芸術団ダンサーで、金正日とも面識があり、直々に声をかけてもらったこともある。のちに韓国に亡命し、本著を出版した。 この本が出版された1997年は、まだまだ北朝鮮は「謎の国家」であり、その情報は「脱北者」といわれる亡命者によってしかわからなかった。当然、拉致問題の「ら」の字もなかった頃である。 この本が家にあったのは、亡父は朝鮮料理のコックであり、昔から在日コリアンとのつきあいが深かった。その影響で、我が家には韓国・北朝鮮の事情についていろいろと知る機会が、世間に比べて多かった(ただし管理人は、正真正銘の日本人である)。北朝鮮の政治状況については、我が家の最大の関心事項であり、亡父はこれらの本を、古本屋でよく漁っていた。 北朝鮮指導部のでたらめな生活はこの本でも詳しく紹介されていて、特にダンサーを「自分の女」としか扱わない傲慢な態度には憤りを感じる。もっとも、脱北者は事の次第を大げさに書きがちという意見もあるが、本当のところはどうなのだろう?

シドニアの騎士(2巻、8〜12巻)

今年の4月から、TBS系列深夜アニメ枠「アニメイズム」で放映されている同名アニメの原作である。 一読して気づいたのは、この作品が今も話題を呼ぶ大ヒットコミック「進撃の巨人(以下「進撃」)」と世界観が似ていること。 相違点はともに独自の年号を用いているとはいえ、本作が太陽系破壊から1,000年後であるのに対し、「進撃」が時代背景が進撃の巨人が19世紀後半の産業革命の影響が色濃いこと、人間の敵として登場するのが本作では「奇居子(ガウナ)と呼ばれる謎の生命体、「進撃」では巨人であること。本作がロボットマンガ、「進撃」がバトル系ダークファンタジーであることがあげられる。おまけに連載開始が本作が月刊アフタヌーンの2009年6月号から、「進撃」が別冊少年マガジンに2009年10月号から、さらにいえば、この両誌の発行元も同じなのだ。これは偶然の一致なのか?それとも、時代がこのような作品を要求しているのか?ついでにいえば、敵が謎の生命体という点では、小説・アニメ・ゲームと大々的に展開された「トータル・イクリプス」と世界観が同じだといえるだろう。 なぜこんな読み方になったといわれれば簡単、ただ単に地元の本屋で手に入ったのがこれしかなかったからとしかいいようがない。本作は基本バトル系ロボットコミックなのだが、9巻以降は主人公・谷風長道(たにかぜ・ながて)を巡り、女性キャラの間で繰り広げられる恋のさや当てがメインとなり、ラブコメ色が強まる。これはヒロイン格のキャラが、2巻で主人公をかばい戦死したため、それをフォローする意味合いもあるのだろう。しかし敵の正体は今も明らかではなく、おまけに敵のやり口もだんだんえげつなくなる(12巻)など、目の離せない展開が続く。今もなお解明されていないことが多いので、今後が楽しみである。

革命機ヴァルヴレイヴ (3)

昨年、分割2クールで放映された同名アニメのラノベ小説版で、この巻ではアニメ2ndシーズンをベースに、主人公・時縞ハルト以外にも指南ショーコ、大塚キューマ、野火マリエらの視点を盛り込んでいる。相違点は、アニメ版では生徒の大虐殺があったが、小説版では射殺されたのがハルトだけだったこと(彼は「マギウス」のため、すぐに蘇生した)、ショーコとの和解が小説版で描かれていること。複数の登場人物の視点で書かれているため、すっきりしてわかりやすいと評価する声も多いが、それ故「なぜアニメ版ではこの通りに放映しなかったのか?」という怨嗟の声も、ネット上では多く上がっている。アニメ版では終盤尺が足りなくなり、1stで触れた謎の多くも解明されることなく投げやり&視聴者丸投げのために、主人公が浮かばれない終わり方になってしまったが、この本の登場で少しは浮かばれたかな? 不満点は、ドルシア軍事盟約連邦王党派の将校・クリムヒルトの決起シーンが丸ごと削られたこと。このアニメの終盤において、彼女の決起シーンは重要な要素だから、小説版でも取り上げて欲しかった。