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Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

革命機ヴァルヴレイヴ(全三巻)

(写真は第1巻)

高校生・時縞ハルトは争いごとが嫌いだ。だから、転校生のエルエルフに殴られても、殴り返せない。 しかし、彼の思いとは裏腹に、より大きな争いが彼を襲う。巨大な軍事国家・ドルシア軍邦が奇襲をかけてきたのだ。 戦火に巻き込まれる学校。殺される学友たち。中立平和をうたう小国ジオールには為す術もない。 その騒乱の中、ハルトは謎の兵器「ヴァルヴレイヴ」と出会う。 それは、転校生と偽り学内に潜入したエージェント・エルエルフの標的でもあった。(アニメ第一話「革命の転校生」より)

2014年4~6月、10~12月に分割2クール方式で放映された、サンライズ制作のロボットアニメ「革命機ヴァルヴレイヴ」のノベライズ版。 出版社がアスキー・メディアワークスなのは、副シリーズ構成を担当している人間が、同社の人間であるからだろう。 各メディアで盛んに宣伝攻勢をかけたこともあり、前評判は異様に高かったのだが、終わってみればアニメ好きからは「珍品」呼ばわりされている作品である。当作品に対する彼らの評価は、放映終了後の現在も変わっていないが、実は管理人は、最初から最後まで、きちんと見たロボットアニメはこれが初めてである。 ノベライズ版では、第1巻・第2巻は1stシーズン放映分を、第3巻では2ndシーズン放映分を収録しているが、2ndシーズンって、1冊にまとまるほど内容が薄かったっけ?と思わざるを得ない。だがこれは見方を考えると、第1巻はアニメで放映された内容をそのまま再現しただけ、第2巻では構成も表現もだいぶ洗練されてきて、第3巻では、(ノベライズ担当者が)アニメ版でムダだだと思った部分を思い切りそぎ落とし、1冊に纏めたということもいえるのだろうか。 書籍化に当たり、削られたところ、新たに追加されたところ、アニメ版から大幅に変更されたところがある。生徒全員で咲森学園の校歌を歌う場面、フィガロ・ARUS上院議員がドルシア軍に殺される場面はカットされ、第2巻では、ドルシア軍の特殊機関・カルルシュタイン機関のエージェント・ハーノインが、その上司であるクリムヒルト共々、上官であるカイン大佐の秘密を見つけたところなどが追加されている。 最大の変更点は第3巻。アニメ版では、ヴァルヴレイヴのパイロットを「化け物」だと判断したARUS・ドルシア両軍によって咲森学園の生徒が虐殺され、生き残った生徒が必死に逃げ延びる場面が出てくる。時縞ハルトらヴァルヴレイヴのパイロットの活躍で「化け物」に認定された他の生徒たちの名誉は回復するのだが、その間生徒たちは宇宙をあてどもなく彷徨うことになる。これに対してノベライズ版では、ジオール大統領の指南ショーコが、ARUS・ドルシア両軍に生徒たちの助命嘆願をしたため、辛うじて大虐殺は阻止された。この設定変更について、ネット上では「なぜ、この通りやらなかったんだ?」という憤りの声が多数上がった。ノベライズ版では、すべての真相を知ったショーコが、生き残った生徒たちに自分の非をわび、 これから一緒にやっていこうと呼びかけることを決意する場面が出てくるが、これもアニメ版とは異なる。 第3巻では、主人公のハルト以外にも、野火マリエ、犬塚キューマ、ハーノインの視点の話が出てくるし、ドルシア脱出時のハルトとリーゼロッテのやりとりも、アニメでは出てこない(そりゃそうだろう、アニメでハルトはヒロインの一人・流木野サキを強姦して、ネット上では大騒ぎになった。ノベライズ版で出てくるやりとりも、露骨に「セックス」という言葉が出てくる。制作者サイドは、これ以上騒ぎを大きくしたくなかったのだろう)。だがこれら独自視点の話が出てくるとはいえ、かねてから視聴者が疑問に思っていた伏線は、この本でも紹介されない。私が知っているだけでも、カイン大佐を妄信するイクスアインと、彼に対する疑念を深め、クリムヒルトと行動を共にすることになったハーノインとのやりとりに何があったのか?予告編で 「ハルト、私を助けて!」 と絶叫したサキに、一体何が起こったのか?静止画では、サキとカイン大佐が向き合う場面が流れたが、これも本放送ではカットされた。さらに200年後のサキは一体誰と闘っているのか?サキが「皇子」と呼びかける少年の両親は誰なのか?ラストの場面で、エイリアンの侵入を報告したのは、連坊小路サトミが「人ならざるもの=マギウス」となったのか、それとも彼の子孫なのか?(ノベライズ版では、サトミの子孫のように書かれているが)など、ツッコミどころは沢山ある。それ故に放映終了後からかなり時間が経過した今でも、あれやこれやとネット上では議論が闘わされている。一時話題になりながら、数年後には「なかったこと」にされている作品が多い中、この作品は5年後、10年後、一体どんな評価をなされるのだろう? なおこの作品は、日本よりも海外での評価が高かったことを付け加えておく。