Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

2014年9月の読書リスト

芸術の秋、食欲の秋、スポーツの秋、そして読書の秋。 あっという間に9月が通り過ぎ、10月がやってきたと、さ。 今年もあと3ヶ月、だけど、どこかの誰かさんのおかげで、日本の先行き不透明感は深まるばかりなり。 彼らによって「表現の自由」は侵略されつつあるというのに、先頭に立ってそれに闘う姿勢を見せる、骨のある作家が希少なのは まことに嘆かわしい。

さて、先月読んだ本の紹介である。 2014年9月の読書メーター 読んだ本の数:4冊 読んだページ数:931ページ ナイス数:3ナイス

夜と霧 新版夜と霧 新版 読了日:9月15日 著者:ヴィクトール・E・フランクル
月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(1) (ガンガンコミックスONLINE) 読了日:9月17日 著者:椿いづみ
夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫) 読了日:9月18日 著者:恩田陸
月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(2) (ガンガンコミックスONLINE) 読了日:9月30日 著者:椿いづみ
読書メーター

夜と霧 新版

ジークムント・フロイトに精神医学を学び、ウィーン大学医学部精神科教授を務め、学者としても「実存分析」を唱えるなど、世界の精神医学・脳外科医学に多大なる貢献をしたヴィクトール・エミール・フランクルは、ユダヤ人の血をひくが故に、ヒトラー率いるナチス政権から様々な迫害を受けた。職を解かれ、ドイツ人に対する治療を禁止された。それのみならず、結婚9ヶ月語には強制収容所に送られた。両親と妻はその後別の収容所に送られ、再会することはなかった。彼は悪名高きアウシュビッツ収容所に送られが、幸運にも3日後には別の収容所に送られ、無事に生き延びた。 この本は、収容所生活を淡々と綴ったものである。収容所での生活は「生きているの不思議」といわれるほど過酷なものであるが、これだけ酷い目に遭ったにもかかわらず、彼は政権に対する恨み辛みを一言も言わず、淡々と日々の出来事を綴っている。その姿勢に、胸を打たれる人は多いだろう。本書は1956年の初版以来、長らく霜山徳爾の翻訳で発行されていたが、12年前に池田香代子の新訳が出たが、ここで紹介しているのはそちらの方である。かように過酷な体験をしたのに、なぜ彼はユーモアを絶やさないことが出来たのか?それが不思議である。

夜のピクニック

星の数多ほどある「青春小説」の中でも、この本は最上位にランクされる作品の一つである。2006年に多部未華子主演で映画化されたので、それをご覧になった人も多いと思う。作者母校は毎年、丸1日かけて歩く行事があるが、この小説はそれを舞台にしている。また映画では、実際に作者の母校である水戸第一高校でもロケが行われ、同行の生徒もエキストラで参加している。 何故この作品は多くのファンを獲得しているのか?主人公の生徒たちは内心ではいろんな葛藤を抱えているが、それをストレートに出す描写はあまり多くない。最大の眼目はヒロインと男子生徒の意外な関係だが、どんな関係なのかはネタバレになるからここでは触れない。 一読してわかることだが、ここで書かれているのは「美しい友情」「連帯」であり「いじめ」に代表される、陰湿でどろどろした人間関係が描かれることはない。作者は、よほど恵まれた高校生活を送ったのだろうということが垣間見えるが、こういう高校生活を送れる人間はごく一握りに過ぎない。管理人はどうです勝って?それは聞かないでくださいよ。お察しください゜(゜´Д`゜)゜。

月刊少女野崎くん第1巻

月刊少女野崎くん第2巻

今年7月~9月に放映された、同名アニメの原作本である。都内某書店の漫画本コーナーで大々的に宣伝していたので、どんなマンガなのだろうとアニメを見たら、これが面白いのなんのって。「これは原作を読まなければ」と思って早速購入したところ、その世界観にすっかりはまってしまった。 人気漫画家なのに、マンガ以外のことは鈍感きわまりない主人公を中心に、個性豊かというか、ちょっと鈍感というか、そんな人たちが繰り広げるドタバタ青春ラブコメディー。以前から「知る人ぞ」という作品ではあったのだが、アニメ化をきっかけをして知名度も評価も急上昇。海外の日本アニメファンからも大好評で、早くもアニメ二期かを熱望されている作品である。ガイドブックや二次創作をまとめた冊子も発行され、こちらも公表である。管理人もアニメ・マンガは大好きだが、これだけ大笑いできた作品は久しぶりである。さて彼ら関係は、この先どんな過程を辿っていくのだろうか?個人的には、頭はともかく、要領の良さは天下一品の瀬尾と、主人公の後輩・若松@バスケ部の関係が、どう変化していくのか興味深い。