Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

2014年10月の読書リスト

ああやれやれ、このブログも2ヶ月以上も「放置プレイ」状態にしてしまった。 NGO活動に忙殺されて時間がとれなかったからだが、この暮れに所属していたNGO団体に別れを告げた。 理由はいろいろあるが、今はそれについて書きたくない。 ただ一ついえることは、彼らの多くは自説にこだわるあまり、他人のいうことを聞き入れようとしないということだ。 何故日本で左翼・NGOが力を持たないのかが、わかるような気がする。 まあ、ここでこんなことをいってもしょうがないのだけれどね。

2014年10月の読書リスト

芥川賞・直木賞150回全記録 (文春MOOK)芥川賞・直木賞150回全記録 (文春MOOK) 読了日:10月6日 著者:
グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代 読了日:10月9日 著者:クリスティアフリーランド
月刊少女野崎くん(3) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(3) (ガンガンコミックスONLINE) 読了日:10月17日 著者:椿いづみ
ハケンアニメ!ハケンアニメ! 読了日:10月28日 著者:辻村深月
TOKYOファッションビルTOKYOファッションビル 読了日:10月29日 著者:川島蓉子

芥川賞直木賞150回全記録

日本文壇界における最高峰に位置する芥川賞直木賞の、祈念すべき第1回から第150回までの記録をまとめた一冊である。 「芥川賞」の由来になった芥川龍之介に比べ、「直木賞」の由来になった直木三十五の人となりについては、文壇関係者・一部の文壇好き・読書家以外にはほとんど知られていないので、その人物像がわかる論考が掲載されているのは非常にありがたい。石原慎太郎ら審査員の対談集も収録されており、彼らの文学館を知ることが出来る貴重な一冊である。受賞作一覧を眺めてみて、自分が知らない作品が沢山ある事を知った。無理かも知れないけど、これらの受賞作を全部読破してみたいなと思った。

グローバル・スーパーリッチ: 超格差の時代

世界中のあちこちで格差問題が深刻になる中、世間から「グローバル・スーパーリッチ」といわれる人たちは何を考えているのか、それを丹念な取材でまとめたのがこの本である。著者は新自由主義に批判的なスタンスをとっており、母国・カナダの国会議員選挙に出馬経験もあるジャーナリストである。 18世紀の時代にも、個々の才能で巨万の富を掴んだ人は存在した(芸術家など)。確かに今の「スーパーリッチ」といわれる人たちも、ある種の才能に恵まれているのは否定しない。しかし「スーパーリッチ」といわれる人たちの多くは「社会貢献」に否定的なスタンスをとるばかりでなく、国庫に納めるべき税金すら拒む。さらには自分たち「スーパーリッチ」だけが参加できる客船を建造し、その中で人生を送ろうと目論んでいる。もちろん、同じ「ビリオネア」といわれる人の中には、仲間だけでしかつながろうとしない人たちのことを快く思わない人もいる。彼らに「ノブレスオブリージュ」の精神をつけさせるにはどうしたらいいのだろうか?

ハケンアニメ!

アニメ業界を舞台にした、辻村深月初の「お仕事小説」である。 タイトルの「ハケン」は「派遣」ではなく「覇権」、つまりそのクール(1クール=3ヶ月)で一番視聴率がよかったアニメ番組のことを指す業界用語である。制作プロデューサー、監督、アニメーターの視点からなる話で構成されるこの小説は、随所に「アニメ愛」が溢れている。この作品には、他業界では多数出てくる「野心満々」」でギラギラした人物はほとんど出てこないし、表面上は「ギラギラ」していても、いざ付き合ってみれば性格がいい人ばかりである。裏を返せばこの業界は、エゴイストで根性の悪い人間ではやっていけないということである。また、空前の「アニメブーム」の中「アニメで町おこし」と考える自治体も多いが、「聖地巡礼」に対する地元住民の視線は、かなり冷ややかである事がわかる。

月刊少女野崎くん(3)

アニメ終了後も勢いの止まらない作品の単行本第3巻。 相も変わらず、主人公・野崎のぼけと勘違いに振り回されっぱなしの千代。 「仕事の参考」のためにたまたま持っていたマンガを鹿島に見られたために、彼女からあらぬ誤解を受け頭を抱える堀。 素直に愛情を告白できず、歪んだ形で後輩の若松に恋心をぶつけることしか出来ない瀬尾。 そして、意外なことで明らかになる宮前と前野の関係、そんな前野に唯々諾々と従っている都。 千代を覗いて基本的にみな前任なのだが、どこかピントがずれている人たちが繰り広げる様子に笑いが止まらない。

TOKYOファッションビル

「ファッション」という視点から、まちづくりについて考察した本。 「ファッションの街」として認知されている原宿が、実は住民主導で作られたという話は興味深い。 109ビルやパルコなどのファッションビルが、消費行動に与えた影響について、多角的な視点から記述されている。