Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

2015年4月の読書リスト

5月になったよ。 今年も1/3が経過したよ。 暦の上ではまだ「春」のはずなのに「夏日」「真夏日」になったところがあるってよ。 日は延びたのに、希望の光が差し込む気配がまるでないよ。 この国の最高権力者は「花見だ」「訪米だ」と浮かれ気分でいるけど、庶民はお金がないから花見や行楽どころか、日々の生活をどうやってやりくりしようかと頭を抱えているよ。 さてさて、今月も読書リストの感想いくよ。

ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫)ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻 (新潮文庫) 読了日:4月7日 著者:宮部みゆき
酔うために地球はぐるぐるまわってる酔うために地球はぐるぐるまわってる 読了日:4月17日 著者:椎名誠
進撃の巨人(16) (講談社コミックス)進撃の巨人(16) (講談社コミックス) 読了日:4月21日 著者:諫山創
建築家、走る建築家、走る 読了日:4月27日 著者:隈研吾

1.ソロモンの偽証: 第III部 法廷 下巻

全6巻、計3,000ページを費やした一大ミステリーも、この巻でとうとう大団円を迎えた。 最初の巻を読み終えたのが昨年暮れだから、足かけ5ヶ月かけてこの大作を読んだ計算になるのか。犯人は誰なのか、これからどんな展開になるのか、ドキドキしながら読んだな。ミステリー小説の楽しさを、久々に思い出した。 作者はこの作品を通じていいたかったのは、子どもは大人が思っている以上に、世の中を知っているということである。実際この話に出てくる大人達は、現実世界並みにふがいない人たちだらけだった。「不良三人組」がああなったのも、親たちが仕事にかまけて、子どもの言い分に耳を傾けなかったからでは?と思ってしまう。

2.酔うために地球はぐるぐるまわってる

帯のキャッチコピーが「シーナ初の酒エッセー」とあるが、取り上げられる話題はウィスキーとビールばかり。おい日本酒はどうした?日本人だったら、日本酒の魅力をもっと紹介しろといいたくなってくる。ウィスキーについてはまるまる2章割いているので、ウィスキーの歴史とその製法、現地の人のウィスキーに対する愛着、日本国内のウィスキー工場についての知識が得られる。ウィスキーの好きな人にとってはたまらないだろう。世界各地の酒場事情も、ほんのわずかだが知ることが出来る。それにしても、著者は中学生の頃から酒を飲んでいたのね。胃や肝臓は大丈夫なのかしらん、と思ってしまう。本人は酒が飲めて幸せだと思っているのだから、余計なお世話だとおもっているのだろうな。

3.進撃の巨人(16)

未曾有の大ヒットマンガも、いよいよ終幕が近づきつつある。今巻の最大の見所はヒストリア(クリスタ)の決断と、エレンの判断。彼ら二人の決断が、今後の物語の展開に、どう影響するのだろうか?ヒストリアとエレンの父・グリシャの因縁、そして実は呪われた家系だったヒストリアの一族。「対人制圧部隊」の首謀者「人切りケニー」ことケニー・アッカーマンの野望の原点も明るみになる。巨人を相手にしていた調査兵団の格闘技術と戦術が、人間にも通じるだとは。普段でかいやつを相手にしているから、スピードで振り回されたら不利になると思っていたから以外。ケニー、リヴァイ、ミカサの姓が「アッカーマン」である理由が判明するのは次巻かな?

4.建築家、走る

毎日毎日、国内外をかけずり回っている建築家・隈研吾氏のインタビューをまとめたもの。彼にインタビューしたのは、20年来一緒に仕事をしているフリーライター・清野由美。あとがきにも書かれている通り、隈の日常は超多忙であり、国内で10分だけインタビューに応じたかと思うと、翌日には海外出張というのは日常茶飯事。しかも荒涼ギリギリまで帝政とか遺筆が加えられるという、聞き手にとっては鬼のような日々。だが彼女は「一つの完成したイメージに向かっていく、その達成の予感」を励みに、この本の執筆に励んだ。 建築家のインタビュー集であるが、この本で触れられているのは建築論のみならず、社会のあり方、建築のあり方、建築家のあり方、果てはグローバル論にまで及ぶ。そして、一つ一つの言葉に重みがある。この本を読んでいると、物事を多面的に捕らえることの重要性を痛感させられる。現政権のお歴々にぜひ読んでもらいたいと、切に願う。