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Révision Du Livre

平和を愛する男がチョイスするブックガイド

「2016年2月の読書リスト」

「明けましておめでとうございます」という時候の挨拶から、あっという間に2ヶ月が経過した。今年も1/6が経過したということになる。 年明け早々に国会が開会してからというもの、大臣・与党議員のスキャンダルや問題発言が頻発した。先月書いたように、あまり大臣の「口利き疑惑」にはじまり、丸川環境相原発被害についての暴言、島尻北方問題担当相が「歯舞諸島」を読めなかったこと(担当大臣なのに!)高市総務省の「放送法に基づくテレビ局の停波発言、そして宮崎議員の「育休」が、実は不倫のためでした、という破廉恥なスキャンダル。これらの問題行動のうち、甘利は大臣を辞めたが議席はそのまま、秘書たちも姿を見せず、与党は証人喚問に応じないという不誠実。丸川・島尻両大臣は口だけの「お詫び」だけに終始。宮崎議員は議員辞職に追い込まれたが、今後は「髪結い亭主」として妻の尻に敷かれっぱなしになることになりそうだ。あまり報道されていないが、法務大臣TPP著作権法の問題について答弁不能になる、という不勉強ぶり。どれもこれも10年以上前なら、一つだけでも内閣が吹っ飛ぶ超弩級のスキャンダルだが、ふがいない野党の体たらくに加え、政権べったりのメディアのおかげで、なぜか内閣支持率は高止まりのまま。「このままではまずい」と、ようやく「民主党」と「維新の会」が合流を決めたが、掲げる政策によっては、単なる「数あわせ」に終わる可能性も捨てきれない アメリカでは、冷戦時代の「共産主義アレルギー」の影響で、長らく「社民主義アレルギー」だったが、今度の大統領選で自らを「社会主義者」と言い切るサンダース上院議員が旋風を巻き起こしている。その背景には、広がる一方の格差問題がある。アメリカでも奨学金を払えず、生活苦にあえぐケースが急増している。学歴がないから、低賃金かつ不安定な雇用期間の仕事しかない。それを打破するに、大学に行くしかない。高額な「奨学金ローン」を借りて大学で学位を取得しても、希望に見合った仕事にありつけない。さらに上を目指して大学院に行くが、それでもいい条件の仕事は奪い合いになっているという、負のスパイラル。アメリカの貧困状況について書かれた「ルポ貧困大国アメリカ」は、このブログにも取り上げたが、現状は10年前よりさらに悪化している。貧困にあえぐ彼らの状況を見かねたサンダースは、公約に「すべての公立大学教育の無料化」「富裕層に対する課税強化」を掲げ、貧困層や若者の支持を獲得している。残念ながら⒉日に行われた「スーパーチューズデー」では、ヒラリー・クリントンの後塵を拝する結果になったが、彼の公約は、さすがにヒラリーも口にせざるを得ないところにまでになっている。もっともヒラリーは、大学教育無料化については、最初は「無理だ」と行っていたから、本気で取り組むかどうかは甚だあやしいが。 日本の状況は、アメリカよりも清国といえるかも知れない。何しろ、1970~80年代に一時代を築いた「革新陣営」に代表される、社民主義を掲げる政治勢力の没落が止まらないのだ。日本で「社民主義」の旗を掲げる社民党は少数派に転落し、野党第一党民主党左派は、党内で主導権をとれない有様。安倍政権に批判的態度をとる知識人やSEALDsなどは「社民主義復権」を掲げて闘っているが、肝心の野党指導者には、その声が届かないのがもどかしい。 それでは、2月に読んだ本のご紹介。

世界金融危機 (岩波ブックレット)世界金融危機 (岩波ブックレット) 読了日:2月13日 著者:金子勝,アンドリューデウィット
文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫)文学とは何か――現代批評理論への招待(上) (岩波文庫) 読了日:2月15日 著者:テリー・イーグルトン
ブタカン!: ~池谷美咲の演劇部日誌~ (新潮文庫nex)ブタカン!: ~池谷美咲の演劇部日誌~ (新潮文庫nex) 読了日:2月19日 著者:青柳碧人
ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学 読了日:2月25日 著者:アレックス・ペントランド
月刊少女野崎くん (4) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん (4) (ガンガンコミックスONLINE) 読了日:2月29日 著者:椿いづみ

世界金融危機

詳しいことはこちらの記事をご覧いただくとして、今個人的に思っているのは、人類は「リーマン・ショック」の苦い教訓から、何も学んでいないのだということ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」のことわざ通り、あの時の各国政府がとった対応・政策は、あくまでも一時しのぎに過ぎなかったのですね。もうこれ以上贅沢はできないのだ、これからは「持続可能な経済を目指す」という姿勢を打ち出す政治家や経済人が大勢いたら、国際経済はもっと違った道を辿っていたはずなのにと思うと、残念でならない。経済も金融も、元を正せば「効率的な富の分配」を目指していたのに、いつからおかしな方向に向かうようになったのか?

文学とは何か(上巻)

本格的な文学理論を学ぼうと通販で取り寄せてみたら、中身は本格的な哲学書だったでござる、の巻。文体も硬い上に論旨も入り組んでいるから、何が何だかわからないところが多すぎて困ってしまったでござる。世界中でこの「文学理論書」は高く評価されているが、読んで理解できた人はどれだけいるのでござろうか? 本書で取り上げられている「文学理論」は、現象学、解釈学、受容理論構造主義記号論だが、本書ではこれらのきそてきなが異論が「十分理解している」という前提で論考をすすめていくので、先述の概念を全く知らない、あるいは触り程度しか理解していない人が読んだら、途中で放り出すことは必死の難解さ。私の知人は「簡単なことを、わざと難しくこねくり回すのが学者だ」と皮肉っていたことを思い出した。曲がりなりも上巻を読了したので、下巻もがんばって手を出してみようとは思っている。でもどれだけ理解できるかはわからない。

ブタカン!~池谷美咲の演劇部日誌~

青柳碧人の新シリーズの1作目。こちらがあとの掲載になったのは、この本が地元の本屋で手に入らなかったから。 家庭の事情で、高校に入ってからアルバイト生活を送っていた池谷美咲は、友人のすすめで演劇部に入部する。生徒から「変人の巣窟」と言われるだけあって、一癖も二癖もある人間ばかり。しかも誘ってくれた幼なじみは、闘病生活を送ることになった。岬は彼女のかわりに「舞台監督」という重責を担うことになる。果たして彼女は、彼らをうまく御することができるのか? 「幕が上がる」のヒットに触発されたのかも知れないが、専門用語もきちんと詳しく書いてくれているので、演劇を知らない人間も、すんなりと理解できる。作者も出版社も「ライト・ミステリー」として扱いたいようだが、本シリーズは立派な「青春小説」。高校時代自分みたいな「いじめられっ子」には無縁な世界で、こういう青春時代を送ることができた作者とキャラクターをうらやましく思う。そして最後のエピソードに出てくる「ジュリア」の台詞がとても重く感じられる。

ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学

タイトルに「物理学」という言葉が入っているが、本書で扱うのは今はやりの「ビッグ・データ」「「クラウドサービス」に関するものである。これの分野を利用した行動科学を「ソーシャル物理学」という概念で解明しようというのが、本書の趣旨である。本書を見て痛感したのは、ネットだけでは影響力を駆使するのは限界がある、ということ。ネットで影響力を駆使するには、現実社会でそれなりに影響を駆使できなければ意味がないのだ。巻末資料に小難しい数学や物理の式が掲載されているが、これらの式が理解できなくても本文は理解できるのでご安心を。それよりもこの本は、社会学・心理学・経済学などの知識がないと、著者が言いたいことは理解できないことに留意すべし。

月刊少女野崎くん(4)

久々に戻ってきたこの世界。あの野崎に弟がいたという、衝撃の事実。それ以上に驚いたのが、兄以上の癖の強さ、そして兄の現担当者以上の会話嫌い。担当といえば、宮前と前野は仲がいいのか悪いのか、読者にはよくわかりませんw そして瀬尾って、若松のことが本気で好きなんだね。当の若松は、瀬尾のことを「はた迷惑な先輩」としか思っていませんが。おまけに彼は「ローレライ」の正体に、未だに気がつく様子がない。千代の恋は遅々として進展しないし、堀先輩の気苦労は増える一方。とはいえ、なんだかんだいいつつみんな仲良しなのはいいことだ。そういえば、ここまでがアニメ放送分なんだよな。今年の夏に第8巻がでるそうだから、それにあわせてアニメ第二期もやってくれないかな~と、密かに思うのでした。